公正証書遺言
医師から余命をお聞きになられた後、正直「遺言書」を作成する気持ちにもならないかと思います。でも一度考えてみてください。「自分たちの死後、必ず生じる手続き」のことを。
…遺書を残す、という視点だけでみると気が重くなる方も多いのですが、遺言書の最大のメリットが「相続の手続きの簡便さ」があるのはご存じでしょうか。
金融機関等々で公正証書遺言を提示することの強さ。それは、あなたにしか準備はできないのです。
尊厳死宣言
病気や外傷で治る見込みのない状況となったとき、「私は無理な延命治療は求めません」という意思表示をしておく公正証書です。たった数枚の公正証書ですが作ってあるのとないのでは金銭的・疲労的な面で家族の負担が歴然の差です。
公正証書遺言を作成される時に、一緒に作る方が非常に多いです。
一番のメリットは、ご自分の死後、財産の分け方で相続人を悩ませない、ことです。
相続で一番時間がかかる部分は「遺産分割協議」という「話し合い」の部分です。
相続人全員が集まり「この土地はあたしがもらう」「わたしは現金だけでいい!」「そんなのずるい!」と話しあうことになるため、時間も手間も疲労もかかってきます。
その点、公正証書遺言があることで、遺言書の内容通りに遺産分けが進められるため、
この遺産分割協議は省略することができます。
公正証書の中で予め決めておいた「遺言執行者」によって遺産の分配がなされます。つまりは、相続人を話し合わせることなく、財産の分配が可能です。
余命半年・3か月、と伝えられたご家族は在宅医療や終末期医療の進め方に頭がいっぱいになってしまいます。
往診医や訪問介護、痛み止めの選択等々…。
ですが、確実に迫ってくるのは「最期の時」。その後、家族が迎える相続についても考えていくことが重要です。
ご自分・ご家族の死期が見えたときに遺言なんて言いだせない、という考えもまだまだ聞きますが、作成してあるのとないのでは大違いです。
そして相続人の最低限の相続分(遺留分)にも影響してきます。
また尊厳死宣言については、「作ってあったことで、最期の医療について家族が悩まない」ことです。
その最後の瞬間に至るまで、家族は医師から治療の説明・承諾を受けます。リスクの説明も受けます。
そんなとき、この尊厳死宣言があれば、重大な選択を求められた時、家族も「本人が希望していたことだから」と救われることができるのです。
遺言書を作成しても、遺言は「亡くなって初めて効力を発揮するものなので、それまでの間ならいくらでも書き換えが可能です。
また預貯金を使ったり、不動産を処分しても問題がありません。
しかし、作成者本人が認知症を発症したり、判断能力が落ちてしまうと作成は不可能です。
「夏までは調子よかったのに」と悔やむことになる前に、作成しておきましょう。通常の作成ですと、依頼から完成まで3週間程度で可能です。
(数日以内に作成して欲しい、というご依頼のかたはご相談ください。ご対応致します)
終末期における痛み止めは今ではたくさん出ていますが、痛みの程度によって医師が薬の量や種類を変更してくれます。
痛み止めは痛みを本人に気付かせないようにするもののため、ある程度になると使う量も内容も強くなって、本人も楽になる分「傾眠」といって眠りやすい状況になります。
そうすると、意思疎通が取れなくなる時間も多くなるため、作成する時に薬が効いて寝てしまって作れない、ということも出来てきます。
弊所では終末期を見てきたスタッフが対応することで、作成時期・時間等判断し、本人に無理なく作成ができます。
癌など病状が進行すると、ベッド等に横になり体力を保存することが多くなります。
すると、全身・臓器も含め筋力を使わない為、自然と体力が落ちます。多くの方は「私はできないことが増えた」と気持ちが落ち込みます…。こんなケースをたくさん見てきました。
この状況まで来るとなかなか「相続の準備を…」というのは言いだしにくくなりますよね。
だからこそ、時間を無駄な時間をかけず、本人が作成できるうちに、というのが大切なのです。
遺言書を作成するタイミングを失わないこと、これにつきます。
ご本人の「病状・気持ち・精神状況」が落ち着いているのなら、その時がベストでしょう。
来週相談しよう、もう少しよくなってから相談しよう、ではなく、その日のうちに相談者を見つけ、作成までの窓口と道を作っておく、くらいのペースで進めていくことをお勧めします。