相続税納税者は“全体の7%”の誤解

相続税が改正されて相続が身近になった、といわれますが、本当にそうでしょうか?


相続税に関係する人は7%……100人のうち7人ですから、
よほど資産家じゃない限り関係ない、というのがみなさんのご意見なのでは。

  1. 国の発表は誰のためのものか
  2. 今年から相続税基礎控除額が激減
  3. 配偶者控除と小規模宅地評価減の特例
  4. 相続税納税者7%ってどの7%か

 

1.国の発表は誰のためのものか

よく知られている通り、相続税の申告と納税期限は人が亡くなってから原則10か月以内です。


相続税を払わなければならない人は、去年までは全体の4%強、今年からは全体の7%強なんて言われています。
あまり関係なさそうですね。
……しかし。

2.今年から相続税基礎控除額が激減
これも知らない人がいないくらいですが、念のために。


去年まで基礎控除額が
5000万+相続人×1000万(ex.相続人が配偶者と子3人として4000万)=9000万円 で

それ以下の人は申告する義務がなかった。のですが
 
今年からは
3000万+相続人×600万(相続人4人として2400万)=5400万円が控除額です。


だいたい八王子市で、60坪の持ち家と退職金などが残っていて
預貯金・株等を3000万くらい持っている場合は相続税の申告が必要になるわけです。
これが今年から対象者が増えた、という理由です。

(もちろん相続人が1人であれば3600万円以上で申告が必要です!)

 

3.配偶者控除と小規模宅地減額の特例


で、以下は必ず税務署への申告ありきなのですが、


・妻や夫は優遇されているのでその人が取得する分はまるまる払わないでよい、とか
・同居している家族がその持ち家を引き継ぐ場合は、土地の価格を2割で計算できる

ので、基礎控除額を下回り、納税額は0円となるケースがあります。(ゼロ申告)

この例でいくと、
納税はしなくて済んだけど申告はしなければならず、税理士さんへの報酬はかかります。
(相続財産の目安~1%くらい)

全体の7%が納税義務があるとは言うけど申告義務はその数倍はあるということです。
(税理士さん相続苦手な方が多いですが、会計顧問にいつまでも甘んじていられても困ります)

 

 

4.相続税納税者7%ってどの7%か

上の例は、八王子の超一般的家庭でのケースです。
みなさんお住いの所の路線価(㎡あたりの値段)を調べてもらえればよいでしょう。

ザックリの目安ですが、八王子駅すぐなら30万、当事務所のある本町で20万、浅川付近~川を超えると10万。

 

この路線価は、八王子から東京方面に、立川を超えて国分寺、吉祥寺、高円寺、……
(中央線で“ジ”を超えるたびに気温が1度違うなんて言われますが。余談。)
と数倍になっていき、ちょっとした土地と家を持っているだけで全員相続税の申告(・納税)義務あります。

 

だから7%とか大部分の人には関係ないような表現で誤解してはいけません!

 

この7%って高速近くの山に囲まれている所や、急行止まらないような駅、都市部から離れた地方も
全国・全部含めての7%ですから。
いくら八王子市が田舎だといっても納税対象者は14%以上、申告義務者はそれ以上。

 

特に、これをご覧になっている経営者の方でしたら資産は間違いなく納税対象です。
その上、手持ちの現金に対して、換価できない資産が多いはずなので納税額はかなりの大金となります。


今のうちから
相続税がどれくらいかかり、納税資金は確保できるのか、対策はどうするのか等…
把握しておきましょう。

 

相続も病気も早期発見・早期治療!!

 

 →名義預金はどうなる

 →相続時精算課税の落とし穴