特別受益と寄与分

相続の話や遺産分割協議の話が出ると、

「特別受益」や「寄与分」というなんだか難しい単語がよく聞かれるようになりました。

 

ネットや本でいろいろなことが書かれていますが、実際実務上はどうなのでしょうか?

 

 1.特別受益

 2.寄与分

 3.争いになる誤解点

 

1.特別受益

 

特定の相続人が、被相続人から結婚などのため、もしくは生活費として贈与を受けていることで

その人を特別受益者といいます。

 

この場合は、亡くなった人の財産に特別受益の分を加えたものを全体の相続財産とみなします。

(特別受益の持ち戻し)

 

そして特別受益者は、計算しなおした後の自分の相続分からもらった分(特別受益分)を引いたものを相続することになります。

 

これは生前贈与があった人と何もなかった他の相続人との不公平をなくすためです。

 

 

2.寄与分

 

寄与分にあたるものとしては、

 

①被相続人の家事を手伝って、お金をもらわず財産の維持・増加に貢献した(家事従事型)

②被相続人の事業に関する借金を返すなど事業の維持・発展に貢献した(金銭等出資型)

③長いこと被相続人の看護をして、他に払う余計な介護費など使わないですんだ(療養看護型)

 

とされており、特別の労働や資金などを出した人と他の相続人との不公平をなくすためものです。

 

特別受益の場合とは逆です。

 

その寄与分を相続財産から引いたものを計算します。

それぞれ相続分に、さらに貢献した人に足したものを相続することになります。

 

 

3.争いになる誤解点

 

これらは遺産分けの話し合いや家庭裁判所の調停の話し合いでまとまらなかった場合、

審判によってその金額が決められます。

 

でも、これは夫婦間や親族間でのあたりまえの扶養義務以上、

かなり特別なものでなくてはなりません。

 

例えば、特別受益であれば

他の兄弟は家族だけの質素なものなのに、一人だけ何百人も呼ぶ盛大な結婚式等をしてもらった、とか

 

他は中学までしか行かせてもらえなかったのに、一人だけ私立大学、特にお金のかかる学部に入れてもらった、等です。

 

 

寄与分に関して、主張する方は多いのですが

同居して親の面倒を毎日見ていた、とか

家の店をずっと手伝っていたなどは、まず寄与分として認められることはありません。

 

これはあたりまえのこととされていて

第3者から見ても、明らかに出資額が大きい(貸している)、

拘束時間が半日以上のようなほとんど仕事や業務(しかも報酬をもらわない)のようなものでないと

まず認められません。

 

 

しかし、「特別受益」や「寄与分」というものがある、ということがよく話題になるため

誤解から争いになってしまうのです。

 

最後に大事なことを。

 

同居していた長男の奥さんが毎日介護で苦労していても認められません。

寄与分とされるのは相続人だけなので。

 

なんだか不公平な気がしてきましたね。

 

 

 →子供がいない人の相続

 →相続遺言相談あるある