遺産分割協議は相続人全員の合意により成立します。
いったん成立すれば、よほどの理由(詐欺や脅迫による場合など)がない限り、やり直しを主張することができません。
つい、その場でハンコをおしてしまった・・・となっても遅いので
しっかりとその文書がどういう内容か理解せねばなりません。
遺産分割の話し合いがつけば通常は遺産分割協議書を作成しますが、この証書を作らないからといってその協議内容は無効というわけではありません。
ただ事実上、
この遺産分割協議書がないと不動産の名義変更登記はできませんし、預貯金を解約する時も必要になります。
1.遺産分割協議書の作成
2.ハンコを押したら
3.いつの間にか手続きされる
4.結論
1.遺産分割協議書の作成
実際には、財産をもれなく調べて、評価額も出した財産目録を使い
相続人全員の納得いくように話し合いますが、
数が多い場合はこの財産目録を作るのに時間がかかり、専門家がやっても2か月くらいでは終わらないこともあります。
もし協議書の内容から漏れていた遺産があった場合は、
再度、その漏れた遺産についてのみの話し合いとなり、
すでに決まった協議内容を全部やり直すことにはなりません。
(相続税の修正申告は必要になることはありますが)
基本的には、例えば
「後日、他の遺産が発見されたときは、○○が相続する」と盛り込んでおいた方が
再度話し合いや書類を作成する等後々の手間は省略できます。
ただし、その漏れた遺産が重要なものであれば、
錯誤(わかりやすく言えばかんちがい)によるものとして無効を主張することができる場合もあります。
例えば家と土地3千万円のみの協議で終わったはずが、
あらたにそれ以上の土地や預貯金が出てきた場合などです。
無効であれば話し合いを最初からやり直すことになります。
2.ハンコを押したら
とにかく多いのは遺産の内容や額もよく知らせずに文書を送り、これに署名捺印するよう求めるケースです。
「あるのは自宅と預貯金口座が少しで・・・ハンコ代として50万円渡すから。相続手続きの時間がないからとりあえずおしておいて。他のことは後で何とかするから・・・」
とよく聞くと、どこかの振り込め詐欺のような感じですが、
なんだかわからないままハンコを押してしまった・・・と相談されることが少なくありません。
しかし原則、全員で作ってそれをもとに解約・名義変更が済んでしまえばそこまでです。
3.いつの間にか手続きされる
話し合いが進んでないのに遺産分けの手続きがされて、相続財産を特定の相続人が独占する場合があります。
この場合、遺産分割協議は正当になされていないので、
裁判などによって、相続財産を取り戻すことになります。
また、こうした偽造をした人は私文書偽造等にあたり、これで告訴することもできます。
4.結論
人が亡くなってバタバタしている中、身内のひとりが相続手続きをとり仕切ると往々にしてよくあることです。
それぞれの生活で忙しかったり、手続きに詳しくなかったりと事情はありますが、
その後の親族関係にも大きく関わることなので、
公正で信頼性のある方法を優先するのがよいでしょう。
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