遺言による保険金受取人の変更は可能か!?

契約者自身が被保険者になっている場合の保険契約において、

契約者はいつでも保険金受取人を変更できることになっています。

 

それでは遺言書において保険金受取人を変更できるのかどうか?

 

結論からいうと可能です。(東京高判平10・3・25)

(ただし、遺言内容に入れるのを嫌う公証人もいます。)

 

ただ、遺言書、ましてや公正証書なら絶対!と思いきや

実は保険契約の約款が重要視されるため、実は変更できないことが多いのです。

 

これは・・・よくネットででてくる情報と違うような気もしますね。

実際に、『遺言書での変更はできません』と証書自体に書いてあるところもあるほどです。

だいたい、保険金の受取人自体が2親等までと契約上はなっているのに

とりあえず、契約して遺言書でそれ以外の人に変えられる、とすればそれはおかしなことになるのは明白です。

今では、保険会社も事情によって受取人の幅も広げている最中ですので今後どうなるかはわかりませんが・・・

 

 

実務上、受取人を変更しようとした場合。

もし遺言書にこの記載があった場合、気をつけなければならないことがあります。

まず、早急にその生命保険契約の存在と内容を確認しなければなりません。

そして遺言書に受取人変更があった旨を通知しなければなりません。

 

この早急に、というのが重要です。

 

生命保険金は、

他の預貯金や証券と違って遺産分けの話し合いの対象ではなく受取人固有の財産となるため、

相続人の同意や遺産分割協議書の作成等がいらず、すぐに現金化できるものです。

 

そのため、その変更通知や手続きをする前に、

もともとの受取人だった人が、相続発生後すぐに保険会社に請求すれば現金化できてしまいます。

 

あとから遺言書で受取人変更があった旨を通知しても、

保険会社は契約通りにもう支払い済みだということになり、

新受取人、旧受取人、保険会社を巻き込んだ裁判に発展してしまうのです。

 

結論:

 

・もし変更された遺言書が出てきた場合、早急に保険会社に確認、通知する

 

・通知の際は後日紛争を防ぐためにも配達証明付きの内容証明郵便を利用する

 

・それよりも保険金受取人を変更するなら直接保険会社に言う!!

 

 →→生命保険は2大相続対策の1つ

   →→保険料贈与としての相続対策