成年後見人がついているような方が遺言書を作れるかどうか
結論からいうと「作れなくはない」です。
民法では、遺言能力として「遺言者が満15歳以上で、遺言をする時において能力を有していれば遺言をすることができる」(民法961条、963条)とされています。
ただ、成年被後見人が遺言書を作る場合については、ハードルの高い要件があります。
書き方や手続きなど各遺言での最低要件のほかに
1.ものごとを判断する能力を一時回復した時に作る
2.医師2人が立ち会う
3.その医師は、遺言者が遺言をする時に精神上の障害で事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記する (要するに、本人遺言書作れるくらい元気に回復しました、という証言)
以上の要件があります。
要するにほぼ可能性はないということでです。
成年被後見人でなければここまで厳格なものは求められませんが、
よくあるものとして、
認知症の診断を受けていたり、お医者さんに通っていたりした場合は、内容に不満な人からはいくらでも「遺言は書かされたものだ」とか「その時はもうボケていた」等
「遺言無効訴訟」のネタになりますので注意が必要です。
また、内容的に複雑なものや、極端な分け方のもの(例えば全財産を三男に等)
も同じくネタになります。
たとえ必要書類や要件をすべてクリアして公正証書で作れたとしても、実務的には
・遺言者の日々の生活状況を記録しておく
・遺言書を作った時の状況や医師の判断を書面や写真、動画に残す
など後日争いになったとしても証拠はできるだけ残しておくことが重要です。
幣所の相談も基本的に、「これからですか?!」というものが多くあります。
対策を考えているけどこれから入院するので、ならまだ内容のお話もできますが、
すでに何か月か入院していて、今が家かどこなのかわからない、とかはかなり厳しいです。
実際はだいたいそのくらいの段階で慌てて
自分の意思で書いた、という遺言書”らしきもの”(執行できなければ全く無意味)
がありました・・・って
逆にもめる原因になってしまった場合をさんざん見てきております。
遺言書は、素人がネットで調べたくらいでヘタに作ればもめる原因にしかなりません。
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