相続手続きにおいて、まず一般の方が初めにつまづくのが戸籍の収集です。
銀行に預貯金をおろしに行ったら、
「亡くなった方の出生までさかのぼる連続した戸籍を取ってください」とか言われても・・・
また、兄弟の戸籍は個人情報の問題で取れない、とか
昔の戸籍が小さく達筆すぎてなんて書いてあるのか読めない等、
自分の戸籍を取った時点でストップしてしまうこともしばしばです。
「古い戸籍が原戸籍とか除籍とかいうやつで戸籍謄本となにが違うんだ。住んでいるところじゃ取れないのか。」
というところから始まります。
1.本籍・転籍
2.出生までさかのぼる戸籍とは?
3.改正原戸籍と除籍謄本
4.戸籍の附票
1.本籍・転籍
本籍(本籍地)とは、住所とは異なり、戸籍のあるところをいいます。
本籍は日本全国どこに定めても良いし、いつでも本籍を移す (転籍) ことが出来ます。
多くは結婚した時や離婚した時を機会に生まれた本籍から抜けます。
いわゆる☓がついたということですね。(離婚した時だけではありません)
昔は運転免許証にも書いてありましたが今では個人情報保護の点から載っていません。
本籍地を別の所に移すことを転籍といいます。
転籍すると、そこで新しい戸籍が作られることになります。
本人の婚姻や離婚はもちろん、本人だけでなく両親や父母を含めた転籍の数だけ、戸籍の数も増えるということになります。
2.出生までさかのぼる戸籍とは?
相続手続きで人は生まれてからの証明が必ず必要となり、同時にこれがなければ何も始まらない、というのが
「出生から死亡までの全ての戸籍」というものです。
人は生まれると親の戸籍に入ります。その後、その親の都合で転籍したり、法改正により戸籍の様式が変わったり、
婚姻などを契機に新しい戸籍が作られて、1人につきいくつか戸籍が存在する事になります。
これらを戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍と呼びます。
そして、これら全ての戸籍類の作成日が1日も途切れることなく集めてつなげたものが、
「出生から死亡までの全ての戸籍」です。
「相続人は我々子ども3人だけだ、他に養子をとったり子どもがいたりしない」
ということを公的文書により各窓口へ証明するためのものです。
3.改正原戸籍と除籍謄本
戸籍法ができて以来、法律改正による戸籍様式の変更が何度かありました。
この変更前の戸籍を、原戸籍(正式には改製原戸籍)といいます。
原戸籍だけでなく、戸籍謄本も除籍謄本も、本籍地の役所でしか取得できません。
住んでいるところではありません。
それぞれの本籍地の役所に出向くか、郵送での取り寄せ方法があります。
死亡や婚姻、離婚、転籍などにより戸籍から出ることを除籍といいます。
除籍とは、上記などの理由によって、その戸籍にいる人全員が抜けた状態の戸籍 のことをいいます。
いわゆる全員に☓がついた状態のものです。
最も簡単に言えば、戸籍謄本は現在の戸籍で、原戸籍と除籍は過去の戸籍です。
つまり、原戸籍も除籍も、以前は、戸籍謄本だったということです。
全員☓の除籍の場合、その戸籍から全員が他の戸籍に移ったか(転籍や除籍)、全員が死亡したかです。
また、原戸籍の場合、昭和32年と平成6年に戸籍法が改正された時に新しくされたのがきっかけで、
それまでの戸籍謄本だったものが原戸籍となって保管されているのです。
もともとは除籍謄本も戸籍謄本も原戸籍も、同じ戸籍(謄本)です。
1番新しい戸籍は横書きでPCで印刷されたっぽいもの、
その前は縦書きで活字印刷のもの、古くなるにつれ徐々に活字自体が古くなっていき、
手書きになって達筆になればなるほど、枚数が多くなればなるほど古いもの、というとわかりやすいでしょうか。
4.戸籍の附票
戸籍の附票とは、住民票と同じく、住所を証明する公的な証明書です。
その本籍にいる間の住所の「移転履歴」がずっと記録されています。
ですが、住所地ではなく、本籍地の役所のみで交付してもらえます。
相続財産に不動産(土地や建物)があれば、その名義変更の際に必要になることが多いです。
ご相談でも、現在の連絡先が分からない人や行方不明の人がいる、というのが多いのですが、
こういった人の現住所をたどる時に使ったりします。
また我々士業は職権でこれら他人の戸籍や住民票を取得することができるのですが、
モラルにかける一部の人たちによって不正取得されたり、売買が行われて社会的な問題になっているのは嘆かわしいことです。
個人的には、士業は当然ですが、医師や飲食業、自動車運転など、
特にヒトの生命に関わるような免許は定期的に見直して継続・はく奪を判断すべきだと思っています。
→→“遺産”分割とか財産“調査”・相続人“調査”って大げさな気もするけど?
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金子一徳(事業承継センター) (水曜日, 06 1月 2016 15:21)
戸籍は本当に面倒で複雑ですね。集めるのが何より一苦労です。実感してます(笑)。