退職金(役員退職慰労金)はその額の大きさから、退職される方への最後の手当金としての他に
会社の会計の中で重要な役割を持っています。
多くの中小企業において、その退職金に関する規定や金額を決めるのは実際に経営者本人であったりします。
実際にいくらもらっていいものか、うちの会社にそんなに現金があるものだろうか等悩むところですが
金額や内容、支払時期、支払方法については会社の定款に定めるか、株主総会の決議によらなければならないとされています。
1.役員退職金の目安と損金算入
2.生命保険金と借入れ
3.役員退任の要件と経費
4.自社株の移転
1.役員退職金の目安と損金算入
最終報酬月額☓役員通算年数☓役位別倍率(会長・社長なら最大3倍)+功労加算金(最大3割)
例をあげると
100万円☓35年☓3=1億500万円(画期的な事業拡大や地域貢献などがあれば功労加算金)
となります。
また税金面では、
その業種内容や同業他社、業績などからみて過大でなければ全額損金として認められる、とされています。
認められなければ元も子もないので顧問税理士さんが詳しければリスクにならない範囲で決めた方がよいでしょう。
2.生命保険金と借入れ
保険解約返戻金は特別利益として計上しなければなりませんが、
退職金の場合は特別損失となるのでこれらを同時期に計上することで
かなり税金を抑えることができ、場合によってはゼロになることもあります。
もし役員退職金をまかなえる保険に入っていない場合は金融機関から借入れをして支給します。
現在、通常の運転資金の他に「事業承継に関わる資金」として融資をしてくれるところも増えてきており
借入金は増えるが、そこで発生した繰越決算金を以降9期にわたって計上し、
本来納税しなければいけない額を返済に充てることができます。
3.役員退任の要件と経費
実際に「代表取締役を退任した」という事実が必要になるので、
「相談役」「非常勤」などとして「取締役」をはずし給与も半額以下にします。
税務署からの指摘がないように役員会への出席ができなくなるのはもちろん、
いつも出社していて電話に出てしまうのも具合が悪いですね。
ただ役員報酬を下げることで、それに伴う社会保険料をはじめとする福利厚生や関連諸費用を削減することができます。
退職した個人としては手取りが減ってしまうように見えますが、
65歳以上の場合、減額した報酬と年金額を合わせて47万円(平成27年度)未満にすることで
老齢厚生年金の支給停止を解除することができるので、国からは老齢厚生年金を満額支給してもらえることになります。
4.自社株の移転
株価が下がったタイミングで自社株を後継者に移転します。
すべてではなくてもその額によっては後継者が3分の2を確保するチャンスです。
その他、どうしても退職金を用意できない場合や会社との貸付などの問題は別のコラムでお伝えします。
前経営者が、「わが子よりも長い時間を過ごしてきたであろう」その会社を去るのは
並大抵のことでは決心できないでしょう。創業社長ならなおさらです。
また、なによりも後継者がいるのか、事業をつづけていくのかという大きな問題もあり
経営者本人の気持ちを固めないことには進みません。
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