遺産分けの話し合いになったとき
一番考え方が違う論点になるのは
ズバリ「同居・介護・後継ぎ」です。
いつもセミナーで一番強く伝えているところなので
また別にお伝えします。
今回は
1.寄与分の制度と要件
2.寄与分の認定
3.遺言と寄与分
1.寄与分の制度と要件
法定相続分よりも多く財産をもらえる計算になる「寄与分」についてはご相談が多いのですが、
簡単にいうと、亡くなった方に
「特別の(顕著な)寄与(貢献)」の結果
「相続財産の維持または増加」をした
「相続人」に認められるものです。
ご相談ケースで一番多いのが、療養看護をしていた場合です。
実際、同居してご高齢になれば当然付き添いや看護、介護が必要になってくるわけですが、
「特別の」とされる以上、通常のものでは足りず
この点は
①無償か否か
②社会通念上通常期待される程度を超えているか、といった点から判断されますが
夫婦や親子、兄弟姉妹なら互いに扶養義務があり、同居して面倒をみていただけではとても認められません。
だって当たり前のことですから。
ましてや長男の嫁は相続人ではないので認める以前の問題です。
2.寄与分の認定
寄与分を決めるには、
相続人全員の話し合いによるか、
家庭裁判所に寄与分に関する調停または審判を申し立てる必要があります。
実際は認められることは少なく、寄与分を認める審判例は1割以下であり、
だいたい寄与分が争われる例の多くは
逆に
同居していたことで生活費や住居費の贈与など恩恵があっただろうとして
「特別受益」も問題になっていることが多く遺産分けの手続きは紛糾しがちです。
いわゆる
同居していた親族としていない親族で、立場と苦労が真反対になっているパターンです。
3.遺言と寄与分
すると親が亡くなった後に寄与分を主張すればよい、というのは難しく
まだ親に判断能力があるならば
寄与分を考慮した遺言書を作ってもらうべきでしょう。
なお、遺言ですべての財産の処分を決めておけば、
遺産分けの話し合いの余地はなく、寄与分や特別受益でもめることはなくなりますが、
もし遺言書記載に財産のもれがあった場合は
その部分については遺産分けの話し合いがあらためて必要になります。
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